公開講座(統計セミナー)
開催日時
12月2日(土)11:00 〜 13:00 ※予定
プログラム
座長 | 八谷 寛 | 名古屋大学大学院医学系研究科 国際保健医療学・公衆衛生学 |
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生存時間アウトカムに対する多変数臨床予測モデルの構築と評価: STRATOSガイドラインと最新の臨床研究の事例より | ||
演者 | 野間 久史 | 情報・システム研究機構 統計数理研究所/総合研究大学院大学 先端学術院 |
概要
診断・予後予測のためのデータ解析の方法は、この20年ほどで飛躍的に発展した臨床統計学の方法論のひとつであり、2016年に公表されたTRIPODガイドラインの影響も受けて、国際医学誌の実践においても、多変数予測モデルを用いた高度な方法が広く普及しつつある。近年では、AI・機械学習の技術の進展により、深層学習などを用いた診断・予測技術の開発も、精力的に進められている。これらの研究の実践においては、最近まで、ロジスティック回帰モデルなどによる2値アウトカムを対象とした予測モデルの開発が多くを占めていたが、2023年1月、Annals of Internal Medicine誌に、STRATOS Initiative (https://stratos-initiative.org/) から、生存時間アウトカムに対しての多変数予測モデルの構築と評価についてのガイドラインが公表され、大きな注目を浴びている。中長期間の追跡データをもとにした予測モデルの開発においては、治療法の有効性評価などと同じく、Cox回帰モデルなどの生存時間解析の統計モデルを用いる必要があるが、そのような場合に、どのようにモデルの開発と評価を行えばよいのかの指針がまとめられている。特に、2値アウトカムに対してのROC曲線やC統計量などの判別の指標や、キャリブレーションプロットなどの較正のツールが、打ち切りを伴う生存時間アウトカムの場合には、どのようなものになるかは、これらの手法を用いた研究論文を正しく理解するためにも、必須の基礎知識となる。本講座は、2部構成となる。まず、第1部では、最近の国際医学誌で発表された2型糖尿病患者の心疾患発症予測モデルの開発研究を事例として、本ガイドラインで示されている主要な方法と必須の基礎知識について、平易な解説を行う。その後、第2部において、STRATOSのガイドラインで示されている方法の詳細と、Rによる解析ツールについて、具体的な計算の事例を交えつつ、解説を行う。参加者には、実際の臨床研究のデータ解析にそのまま利用することができるRの事例プログラムパッケージを配布する。
文献
McLernon DJ, Giardiello D, Van Calster B, et al. Assessing Performance and Clinical Usefulness in Prediction Models With Survival Outcomes: Practical Guidance for Cox Proportional Hazards Models. Ann Intern Med. 2023;176(1):105-114.
主催
統計数理研究所医療健康データ科学研究センター
日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会
参加費
学会に参加される方は、無料でご参加いただけます。
公開講座のみの場合は、3000円。
お申込み
参加登録ページよりお申込みください。
※公開講座のみご参加の場合は、参加カテゴリー「公開講座のみ」を選択ください。
※現地・Live共に参加可能。